2 : ◆TDuorh6/aM 2016/08/30(火) 11:59:03.87 ID:j6uGZNPFO
ピピピピピッ、ピピピピピッ
スマホのアラームで意識を引き戻される。
自分で設定しておきながら、折角の睡眠を妨げられ少し不機嫌に。
スマホ側からしたら堪ったものじゃないだろう。
命じられたコマンドを実行したら、その命じられた本人から恨まれるのだから。
おっと、そんな事をしている場合じゃなかった。
ぱぱっと洗顔、髭剃りを終える。
朝食は…抜いていいだろう。
コーヒー片手に一服で事足りるから。
クローゼットを両手で広げれば、ピシッとしたスーツと冴えない私服がぶら下がっている。
何時もはスーツ以外に目を向けないから気付かなかったけれど、自分の私服センスはなかなか良いとは言えなさそうだ。
こんな事なら色々と教わっておけばよかったと後悔するが後の夏祭り。
どうせなら今日、一緒に選んでもらえばいいだろう。
彼女なら、そう言ったチョイスに間違いはないだろうから。
…案外、楽しみにしてたんだな。
面倒だの疲れるだの言いながらも、こうして内心ワクワクしている自分を認識。
確かに暇はしないだろう。
むしろ、目を離せないくらいに何を仕出かすか分からない。
不思議でファンタスティックな彼女は、未だに思考を読めないのだ。
一番マシな服に袖を通し、寝癖を隠す為に帽子をかぶる。
どうせバカにされるならとことん間抜けな格好にしてやろうかとも思ったが、実行する勇気はなかった。
服屋やカフェに入った時の店員の目が怖いから。
さて、と。
約束の時間まであと30分。
約束の場所までここから15分。
…よし。
あと20分は、のんびりしていても大丈夫だろう。
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